それ、世の中に、仮銀の利息程おそろしき物はなし。

これは、江戸時代に井原西鶴によって書かれた浮世草子(小説)「日本永代蔵」の一節です。

井原西鶴

井原西鶴 by Wikimedia Commons

現代語訳すると「まったく世の中で、借金の金利ほど恐ろしい物はありません。」といったかんじでしょうか?

日本永代蔵は学生の時に歴史の授業で、習った記憶がある方も多いと思いますが、どんなことが書かれているのかというと、タイトルを見ても今ひとつピンとこないかもしれません。

簡単に言ってしまうと、江戸時代のおもに商人を主役としたストーリーの短編集みたいな感じです。

多くは、一代で財を築いた商家の二代目が放蕩の果てに乞食になってしまうみたいなものが多いですが、逆にとても貧乏な母子家庭が、何十年もかけて大金持ちになるみたいな話もあります。

こういった成功談や失敗談を教訓として、お金の大切さや商売の難しさを説いていくといった内容で、今の時代にはちょっとないスタイルの小説と言えるかもしれません。

江戸時代にはお寺が高利貸しをしていた

さて、その日本永代蔵に出てくる言葉が冒頭の「金利ほど恐ろしい物はない」ということですが、なんと江戸時代にはお寺が町民にお金を貸していたようです。

困った人を助けるために貸してあげていたのかというと、どうもそれだけではなさそうで、お金を借りたら1年後には2倍にして返さなくてはいけません。ということは、年利で100%です。

まあ、小説の中の話ではありますが、ある程度は実話を元に書かれていたようなので、全くの作り話でもなさそうです。

で、借りた方はそんな暴利の金を返せたのかというと、仏様から貸していただいたお金だからということで、何を差し置いてもきっちり返すということで、お寺としては、非常に堅いビジネスでもあったわけです。

金貸しをやった方が儲かる時代

前にも書いたように、日本永代蔵には商人の出世物語が書かれていますが、最初は、味噌を売ったりしていた普通の商人でも、ある程度の種銭ができると、金貸しや両替商をはじめる話がやたらと出てきます。

まともに商売をやっているより、金貸しをした方がよっぽど儲かるみたいな話を仲間内でしているシーンもあったりして、これは当時の時代背景を映しているのかもしれません。

なんだか、数年前の状況とかぶるところがありますね。

また、このころに大資本で商売を興すところが増えてきて、一個人が商売を始めるとすぐにつぶされてしまったり、といった厳しいことも書かれていて、ますます最近の日本と似てるなと思わされます。

江戸時代の債務整理

時代背景が、今の世と被るとこが多い日本永代蔵ですが、一つ大きく違うのは庶民のしたたかさでしょうか?

そのような時代だったので、庶民の生活もやはり厳しかったようです。

この当時は、物を買うのにツケで買うことは日常茶飯事だったようで、年末にお店から支払いの督促にやってくるのを何とか払わないですむようにあの手この手を尽くす様子が描かれています。

おもしろいのは、こうして支払いを延期したり、代金を踏み倒しても、悪びれる様子がないところです。いつか、金が入ったら払おうといった感じで、実にあっけらかんとしたものです。

また、商人の方でも、商売がだんだんと左前になってくると、先を見越して、手元にある財産を弟などの身内の名義に変えて、破産してしまうという話も出てきます。

今の時代にここまでやったら、犯罪ですが、お金が絡めば、どんなことでもするのは、今も昔も変わらないようですね。

江戸の商人

最後に一つ、印象に残ったのが、かなりの額の借金をしている人が語った言葉です。

「借金の額が小さいところは、早めに払って、額が大きいところは後回しにする」と言います。

なぜなら、金額の小さい方はすぐに返してもらえるだろうと期待が大きい分、うるさくてしつこい。というわけです。

逆に大金を貸し込んでしまった方は、半分あきらめたところもあるから、全額耳をそろえて貸せとはなかなか言わない。

どうですか、これはなかなか人間の心理を突いていると思いませんか?

債務整理を検討中の方には、参考になる部分もあるかもしれませんね。

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