自己破産とは

自己破産という言葉の響きはとても悪く、人によってはまるで犯罪のような捉え方までされてしまう場合もあります。

しかし、この制度によって救われる人も多く、人生をやり直すことができているのも事実です。世間では自己破産について間違った認識をしていることも多いようですが、ここでは正しい知識を仕入れていただきたいと思います。

まず、自己破産の手続はどのような手順で進められていくのか見て行きましょう。

自己破産の流れ

上図には「同時廃止の場合」とありますが、自己破産には破産管財人を立てる場合と立てない場合があります。

ある程度の資産を持っていたり、会社を経営していたりするケースでは、管財人を立てますが、一般の場合は管財人を立てずに同時廃止という手続きを取ります。

自己破産をする目的は、借金を棒引きにしてもらうことなので、破産の手続きをすると同時に免責許可の申請も行います。

上図でグレーのボックスは「裁判所がやること」としてありますが、破産審尋や免責審尋には弁護士も関わります。


では、次に自己破産のメリットを見ておきましょう。

すべての借金を棒引きできる

安定した収入が見込めなければ、個人再生などの手段を取ることも難しいですから、早く借金にケリをつけるには自己破産という選択しかないでしょう。

借金が全部なくなり(免責される)ますが、人によっては財産を処分する必要があります。

債務の中には、税金や罰金などは含まれませんので、勘違いしないようにしておきましょう。

生活に必要な財産は持っておける

自己破産をしたからといって、身ぐるみ剥がされて放り出されるわけではありません。

新たな生活を送っていく上で、必要な最低限の財産は持っておくことができます。たとえば、現金にしても99万円までは手許においておくことができます。

自殺や夜逃げなどの最悪の手段を取らずに済む

日本人は、お詫びをする意味も含んでいるのか、自殺という手段をとってしまうケースが少なくありません。

しかし、それは借金にケリを付けないまま人生を終えてしまうことでもあります。

夜逃げも自殺よりはマシかもしれませんが、借金にケリをつけていないという点では同じです。

これらの割にあわない最悪の手段を取ることに比べれば、自己破産ははるかにまともな手段だと個人的には思います。

自己破産のデメリットとは

借金をすべて、免除される以上は、こちらもまったくの無傷でいられるわけではありません。

破産者になれば、やはりそれなりの制裁が待っています。(といっても、そんなに恐ろしくはありません)では、自己破産にはどんなデメリットがあるのか見て行きましょう。

免責が確定するまでの間、就けない職業がある

自己破産の申請をしてから免責の許可が降りるまで、2,3ヶ月はかかります。

この間は、特定の資格を取得できなかったり、持っていても(一時的に)失効したり、あるいは特定の職業に就くことができないなどの制限があります。

自己破産

具体的にどんな仕事に就けないのかは、こちらの「自己破産者が就けない仕事」でご確認頂きたいと思いますが、会社の役員とか、生命保険の外交員、警備員なども含まれるので、該当する場合もあるかもしれません。

勘違いしないでおきたいのは、これらの職業に一生就けないのではなくて、免責が決定するまでの数ヶ月間だけであることです。

また、たとえば古物商もこの就けない職業に該当はしますが、その商売が営めないのではなくて、きちんと代わりの資格者が用意できれば、お店を閉めなくてもよいので、当てはまってしまう人は、あらかじめ準備をしておく必要があります。

持っている資産を処分する必要がある(かもしれない)

ある程度の資産価値のあるものは処分をしなければいけない場合があります。

たとえば、評価額が20万円を超える自動車や預貯金などいくつかあります。(詳しくは下の「処分しなくてはいけない財産」を参照)

官報に名前と住所が載る

官報とは、政府が発行する広報誌のようなものです。

新しく施行される法律や国家公務員の人事異動などを案内することを主な目的としたものですが、この官報に自己破産者の名前と住所が掲載されます。

ただし、この官報は一般に販売されていませんので、普通の方はまず見ませんし、破産者は全国で見ると非常に沢山いますので、これらのリストから特定の人物を見つけ出すのは困難なことです。

しかし、この官報を愛読している業界が一つだけあります。

それは、「ヤミ金業者」です。ヤミ金業者はこの官報に掲載された破産者リストへDMを送ります。まともな業者(サラ金を含む)は自己破産者なんて相手にはしませんが、ヤミ金だけは別です。

一時期に比べて、だいぶ減ったと言われていますが、ヤミ金業者から「お金を貸します」なんてDMが送られて来る可能性はあります。

免責が降りて身軽になったのですから、違法な金利の借金を作らないように自分を律するように気をつけたいところです。

官報について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。

ブラックリストに載る

これは、個人再生でも、任意整理でも、あるいはこれらの手続きを取る前でも返済が数ヶ月滞っていれば、業者の方でブラックリストに載せてしまいますから、自己破産した場合に限ったことではありません。

ブラックリストに載ってしまえば、新たな借り入れはまず、無理です。これを機会に借りなくても生きていける生活力を養うための修行期間と思ってみてはどうでしょうか?

僕もそうでしたが「借りれない」と腹をくくれば、意外とどうにかなるものです。金がなければ、自然と知恵を出すようになってゆきます。

借金の理由が問われる

個人再生の場合は、借金の理由は問われませんでしたが、自己破産に関しては例えば、ギャンブルや遊興費のためにこしらえた借金だと、免責の許可がおりない場合があります。

この他にローンで買った品物を完済前に売り払ってしまった。一部の債権者にだけ返済していた場合などには、免責の許可がおりない場合があります。


一昔まえだと、市町村が管理する「破産者名簿」というものに名前が載りましたが、現在では、免責が決定した人に関しては掲載されなくなっています。

また、破産者名簿は一般の人が見ることはできないので、世間に知れ渡るなんていうことはありません。

処分しなくてはいけない財産

自己破産は単純に借金だけがチャラになる制度ではありません。

自己破産を迫られるくらい逼迫している人がほとんどと思われるので、多くの人は関係ないかもしれませんが、どのような財産が処分の対象になるのか見ておきましょう。

99万円を超える現金

99万円までの現金は、手許においておくことができます。

手許においておくのが不安だからと銀行に預けてしまうと、20万円を超える部分は処分の対象となってしまいます。

評価額20万円以上の自動車

査定価格が20万円を超える自動車は処分の対象となりますが、それ以前にローンが残っている車で、所有権がローン会社のものであれば、たとえ、査定価格が20万円以下であっても返還しなくてはなりません。

20万円を超える預貯金・保険の解約返戻金

預貯金については、先に書いたとおりですが、生命保険等の解約返戻金が20万円を超える場合には、処分の対象となる場合があります。

でも、せっかく長い期間コツコツと続けてきた保険を解約されてしまうのは、悔しいですよね。

これには、いろいろと対処法がありますので、専門家のアドバイスを仰ぐのがよいでしょう。

20万円を超える退職金

安定した企業の正社員だと、この部分が悩ましいところかもしれません。

すでに、退職して退職金が出ている場合なら、99万円を超える部分は処分の対象になります。つまり、すでに支給された退職金は「現金」という考え方になります。

では、退職がまだ先の場合はどうでしょうか?勤続5年以上の方で、今すぐ退職したと仮定したときに支払われるであろう退職金の1/8が20万円を超える場合は、資産とみなされます。

たとえば、今すぐ会社を辞めたとしたら退職金が300万円支払われるとしたら、300万円の1/8は375,000円なので、もし、他の財産(現金や預貯金など)の合計がすでに99万円になっていたら、この部分は債権者に配当(分ける)する必要があります。


自己破産はメリットも大きい分、制約や手続きに必要な準備やノウハウなども多いので、専門家に相談した上で(自己破産をするしないを含めて)決定するとよいでしょう。

解決できない借金問題はありません。

私自身も数年前までは、借りては返す生活を繰り返してしまい、1千万円以上の借金を抱えて、一人で悩んでいました。

しかし、専門家に相談したところ、あんなに悩んでいたのは何だったのか?と思ってしまうほどあっさり解決してしまいました。

もちろん、それなりの代償は払いましたが、借金に追われて、満足な食事も採れなかった生活からは解放され、まともな人生を送れるようになりました。

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