なぜ多重債務になってしまうのか?

いくつもの貸金業者やクレジットカードから借金を重ねて、返済が難しい状態の人を多重債務者と呼びますが、なぜ、多重債務に陥ってしまうのでしょうか。

考えられる原因はいくつもあると思いますし、多くの人の意見は収入が少ないことをあげると思います。

しかし、本当の原因は、収入の多い少ないよりも、もっと他のところにあるかもしれません。

ここでは本当の原因を探っていきたいと思います。

収入が少ないから多重債務になるのか?

収入が少ないことを多重債務の原因とする意見は非常に多いです。

弁護士さんやジャーナリストの方にも、派遣労働者の収入の低さが多重債務者の増加に荷担しているという意見をお持ちの方もいらっしゃいます。

たしかに、突然派遣の契約を打ち切りになって、次の仕事がなかなか見つからなければ、消費者金融に駆け込むということもあると思います。

しかし、収入が低いことと、多重債務者になりやすいことは、イコールであるとは言いきれないようです。

年収に対しての債務が多い(債務度が高い)人の割合

上の表は、JCFAという日本消費者金融協会(平成26年解散)が調査したデータをもとに「年収に対しての債務が多い(債務度が高い)人の割合」を表にしたものです。

確かに年収の低い人の方が割合としては、高めではありますが、年収が500万円以上あるような人でも借金の返済にヒーヒー言っている人がそこそこいます。

年収が低ければ、貯金もままならないでしょうから、なんらかのアクシデントで突然、食うや食わずの生活に陥ってしまうリスクはかなり高いです。

逆に年収が500万円以上もある方なら、そこそこ貯金もできるでしょうし、そう簡単に生活が破綻してしまうことはないはずです。

このことを差し引いても、高収入者にこれだけ債務度の高い人がいるということは、収入の多い少ないだけが、多重債務の原因とは言い切れないように思います。

収入の多い少ない以外の理由には、「お金にだらしない」とか「他社から借りて返すから」とか、その原因はいろいろ挙げられますし、個人個人でそのきっかけは様々あると思います。

それらの原因のひとつひとつをあげてみても、だらだらと長くなってしまうだけなので、書きませんが、もっとシンプルで、誰にでも当てはまる決定的な「多重債務の原因」を知っておいていただきたいと思います。

これを知れば、今現在、あなたが多重債務に陥っているのかどうかが、すぐにわかります。

多重債務の一番の原因は「借金の限界点」を知らないこと

借金というものは、うまく使えば良いもので、たとえば今、目の前に大きなビジネスチャンスが転がっているのに、お金が貯まるまで待っていたら、そのチャンスは誰かに取られてしまうかもしれません。

あるいは、不動産の価値が上がることがわかっていれば、ローンを組んで購入しても金利以上に地価が上がれば、儲かります。(今の日本では難しいかもしれませんが。。。)

仮にローンを組んで、家を買ったとしても、毎月のローンの支払い額が、収入から生活に必要な経費をさっ引いた範囲内であれば、いずれ借金はなくなります。

もちろん、借金を完済するまで、他に借金を作らないことと、収入が減ったりしないことが前提ですが。。。

ところが、家のローンの他にも借金が増えたり、給料が減額されて、収入から生活費を引くと、ローンの支払いができなくなれば、借金は減るどころか雪だるま式に増えていきます。

借金が少しずつでも減っていく状態と逆に増えていく状態の間には「借金の限界点」があります。

借金の限界点

限界点の手前で踏みとどまっていれば、時間はかかってもいずれ借金はなくなりますが、逆に限界点を少しでも超えれば、今の収入のままでは、借金は減ることはなく、むしろ増えていきます。

多くの方は、この限界点を認識しないまま、感覚的に「まだ大丈夫」などと思っているので、気がついたらとっくに限界点を超えた借金を作ってしまってたということになるのです。

借金の限界点の計算方法

この借金の限界点の計算は、とてもシンプルです。

必要なデータとしては、「1ヶ月に支払いに回せる金額」と「金利(年利)」だけです。

ただし、1ヶ月に支払いに回せる金額は、正確に出さないと意味がありません。必要な生活費をすべて洗い出して、毎月の収入から引き算して、割り出します。

たとえば、車を持っているなら、車検や税金も1ヶ月あたりに換算するといくらになるのかを計算します。

今月は3万円だけど、来月は5万円は回せるといった波のある場合は、毎月確実に返せる金額を割り出します。

計算式は以下の通りです。昔算数が苦手だった人も、数字を当てはめるだけなので簡単です。「数式」と聞いても引かないでください。

借金の限界点の数式

数式だけ見ると、難しいと思う方もいるかもしれませんが、やり方は簡単なので、実際に例をあげてやってみます。

かりに、毎月5万円ずつを支払いに回せるとしましょう。

そして、金利(年利)は18%とします。

まず、「1ヶ月に支払える金額」の5万円を12倍します。つまり、1年間に支払える金額と言うことになります。50,000×12なので、「600,000」です。

次に600,000を1.18で割ります。(もちろん電卓使っていいですよ)18パーセントは0.18なので、1+0.18=1.18ですね。

600,000÷1.18=555,555です。小数点以下はカットしてます。

次に555,555を12で割ると、555,555÷12=46,296となります。

借金の限界点(計算例)

つまり、毎月5万円ずつ返せる人が、1ヶ月あたりに借りられる金額は「46,296円」ということです。

5万円ずつ返せるんだから、5万円じゃないのと思う方もいるかもしれませんが、金利の分は差し引くので、1ヶ月あたりは46,296円の借金が限界と言うことです。

これが1ヶ月あたりの基本となる数値なので、もし、2年間で返済しようというのであれば、「46,296×24=1,111,104円」が2年間の間に借りられる借金の限界点と言うことになります。

厳密には、2ヶ月目以降は元本が減るので、限界点はもうちょっと上になりますが、わかりやすくするためと、余裕を持って返済するためにこのような計算式にしてあります。

この限界点を少しでも超えてしまったら、収入が増えない以上、返済のメドは立ちません。

限界点を超えていたら、他から借りて返済に回すような悪あがきはやめて、早急に債務整理を行う必要があります。

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