加速度を増す支払い金額 – 債務整理体験談 その3
せっかく精算したサラ金から再度借り入れをしてしまった僕ですが、すでに、クレジットカードのキャッシング枠にも手を出していましたので、毎月の支払は、ちょっとした金額になっていました。
でも、まだ余裕があると思っていました。というのも、ネット通販のほうの売上が、少しずつですが上がってきていたからです。
その分の売上を支払いに回せば、嫁さんの給料でなんとか食べていけると思っていたのです。
もちろん、当時のアホな僕の考えですから、そんなわけもなく、毎月の住宅ローンの支払も合わせれば、結構きつかったはずです。
なんせ、当時のキャッシングの金利は、29.2%でしたから、返しても返してもちっとも減らないのです。
本当に金利だけ払っている感じで、毎月1万円以上返済しても、元本は千円とか2千円とかしか減らなかったと思います。
収入がないのに増える融資枠
そんな状態でもしばらく続けていると、また融資の枠が増えるんです。
それまでは、マックスで50万円までだったのが、ポンと60万円までOKになっていたりといった感じです。「でも、そんなの借りなきゃいいじゃないか」と思いますよね。僕もそう思います。
でも、そんなときに限って、出費がかさんだりするんですね。車の車検の時期が来たり、プリンタが壊れたりとか。。。
そのままにしておくわけにもいかないので、「今回だけ、借りるか。すぐに稼いで繰り上げ返済できるようにがんばろう」と自分に言い聞かせて、また借りてしまうのです。
僕は、多重債務に陥ってつらい思いをしたこともあって、今では神とか仏とか占いとかは、一切信じないことにしているのですが、それでも、なんていうか人には、まったく同じように行動していても物事がうまくいく時期といかない時期があるんじゃないかと感じています。
といっても、当時の僕はバカすぎなので、そういう次元ではないのですが、タイミングみたいなものをうまくつかめたり、逆にどうあがいても悪い方へ行ってしまうめぐり合わせみたいなのってあると思うんです。
話を戻しますが、こんなことを繰り返しているうちに借金の総額は、じわじわと増えてゆきます。それに引き換え、商売のほうの売上はと〜ってもゆるやかに伸びてました。だから、僕が独立するときに感じていたそのビジネスの将来性は、まったく見当外れというわけでもなかったのです。ただ、もうこの時はすでに手遅れでした。
禁じ手の「借りて返す」
多重債務に陥るもっとも多い原因がこれです。
誰でも思いつく手法で、最もイージーで、何の解決にもならないどころか、自らの首を絞める行為です。ですがやってしまうんです。
すでにオーバーローンになって、首が回らなくなっているのは、現実を見つめることを避けている債務者本人が、本当はよくわかっているはずです。でも、支払期限を間近に控えているのに、収入の見込みがない以上どんな手段を使ってでも、金を工面することしか頭にありません。払えないなんてことは、この世の終わりだくらいに思っています。とても、正常な精神状態じゃないのです。
よく、借金で首が回らないヤツには独特の臭いがあるという話を聞きませんか?
この臭いというのは、その人が醸しだす雰囲気のことではなくて、鼻で嗅げるニオイです。実際にこの頃の僕もそんな体臭を出していたと思います。一日中返せるあてのない借金のことを考えていると、変な汗をかくのです。これがずっと続くので、嗅覚が良い人や職業柄、借金の相談にのることの多い法律家の中には、会っただけですぐわかるという方もいます。
他にも、借金で悩んでいる方独特の体の変化は、いろいろ書けますが、それはまた他の機会に譲りましょう。
さて、僕は絶対にやってはいけない「サラ金A社からお金を借りて、支払い期限が来たB社に払う」という自転車操業を手を出してしまいました。
こうなると、いっきに借金が増えます。それも面白いくらいに。。。
すぐにやってきた限界
禁じ手に手を出してから、限界を迎えるのはすごく早かったと思います。
その頃は、精神的に参っていたのであまり記憶にない部分も多いのですが、多分、他から借りて返すうちにそれ以上借りられなくなって、手当たりしだいにクレジットカードを申し込んだり、サラ金の無人契約機を回ったりしていました。(と思います。)
もうこれ以上、どこからも借りられなくなった時、それは、もう支払いができなくなった時とイコールですから、その頃を境にわが家の電話はもちろん、携帯電話は一日中督促の電話が鳴り続けました。
ちなみに、この時点での借金の総額は、600万円を超えていました。たぶん、3分の1から半分近くが、借りては返すうちに増えてしまった分です。内訳はサラ金2社とクレジットカード7社、それと車のローンも入ってます。(住宅ローンは別)