差し押さえられると赤紙を貼られ近所にバレる?
長引く不況の影響もあって、住宅ローンが支払えずに銀行に家を差押えられて、競売にかけられるというケースは増えているようです。
あんまり感覚でモノを言って、いい加減なサイトと思われるのも嫌なので、具体的にどれくらいの競売物件があるのか、統計局のホームページなどを調べてみましたが、競売にかけられている物件数の推移がわかるようなデータは見つかりませんでした。
ただし、不動産競売流通協会という社団法人が公開しているデータに2008年3月から2010年9月までの「競売物件数の推移(全国)」というデータがあったので、これを見てみると、2008年から2010年にかけては増加傾向にあることが分かります。(ここ最近が知りたいんですが、なんで国の機関で統計取らないんでしょうね?)
このデータによると、毎月6000戸から10,000戸の競売物件があることがわかります。半分以上が一戸建てかマンションですが、店舗や土地だけとかも含まれていると思われます。
で、ここから本題ですが、これだけの数の競売物件があるということは、そのうちのほとんどは差し押さえられているということになるかと思います。
そんなにたくさん差し押さえがされているという現実があるのに、実際に赤い紙を貼られた家を見たことがある人はいるでしょうか?僕は一度も見かけたことはありません。
僕は、以前に自治会の役員をしたことがあるのですが、その時に同じ団地内で夜逃げをした家がありました。
もちろんそんなことは、まったく知らず、何処かへ引っ越したんだろうとしか思っていませんでした。
ところが、ある日、裁判所の執行官から、○○さん(夜逃げした方)の行方を知りませんかといった内容の電話がかかってきたので、そこではじめて、銀行から住んでいた家が差し押さえを受けていることを知りました。
もちろん、その家に赤い紙なんかは貼られていませんでしたので、傍目には何件かあった空き家のうちのひとつにしか見えませんでした。
物の本によると、昔(昭和40年代ころ)は、貸金業者が動産を差し押さえるのに札をぺたぺたと貼っていったという記述もあるので、実際にそのようなことが行われていたのでしょう。
しかし、その場合でも家などの不動産ではなく、家財道具などの「動産」に対してらしいので、この「家に赤い紙を貼られる」というのは、昔のサラ金や闇金が、玄関に「金返せ!」とかの張り紙をして、債務者にプレッシャーを与えていたことが、混同されてこのような都市伝説が生まれたのではないかと思います。
差し押さえと競売ついて理解しておこう
ついでに、差し押さえについて、ちょっとだけ法律的なことも言っておくと、差し押さえをされただけでは、所有権はまだ元の住人にあります。
差し押さえをされると、登記簿に「差押」と記載されて、勝手に売ったり買ったりできなくなりますが、差し押さえされた物件が競売にかけられ、誰かに落札されるまでは、所有権が移転されませんので、そこに住み続けることもできます。
差し押さえされたからといって、すぐに住む場所を失うわけではありません。「差し押さえ」と「競売」の違いについてもしっかり理解しておきたいところですね。