返せば返すほど増えるもの
私は、債務整理をすることになったころ、むさぼるように債務整理とか借金のに関する本を読みあさっていました。(ナニワ金融道も読みました)その本の中で、書かれていたのが「借金は返せば返すほど増えるもの」という言葉で、当時の僕にはとても刺さりました。
普通の感覚なら、借金は返せば返すほど、減るものだろうと思うことでしょう。確かに、ある面では正しいし、多くの人が一生懸命返して借金を減らそうと考えなければ、金融業は成り立ちません。
ただ、多重債務に陥るような状況下においては、「返せば返すほど増える」というのは納得がいきます。最近は、総量規制もあって多少状況が変わってきたところもあるでしょうが、以前ならサラ金で30万円借りて、きっちりと返済していくと、信用がついて50万円まで借りられるようになったりしました。そして、「あなたは優良なお客様なので今回特別に融資の枠を多くさせていただきました。」なんて感じで電話で営業してくるんです。
サラ金から金を借りている時点で「優良」も何もないんですが、こんなことを言われるとちょっと自分の格が上がったように錯覚してしまいます。
そうすると、借りなきゃいいのに、増えた枠の部分まで借りてしまうんです。(もちろんすべての人間がそうだとは言いませんが。。)
こうして、多重債務者になってしまう人も多いのですが、まさに返せば返すほど増える借金ですね。
さらに、その本には「借金は逆に返さなければ減る」とも書かれていました。
「いやいや、返さなきゃ、遅延損害金がどんどんついて、増える一方でしょう!」と、思うのが普通ですね。たしかにそうなんですが、でも、そもそもカネがないから、毎月の返済ができないのに、そこに損害金を上乗せしたところで、払えるわけがありません。非常に矛盾した行為であることは業者もある程度わかってやっているのです。
たまに、親が肩代わりしてくれたり、よそから借りてでも返す人がいますが、彼らはさらに借金を増やすことになります。
では、逆に誰も肩代わりしてくれる人がいなくて、もう、よそから借りることもできない人たちはどうなるのでしょう?
大抵、何らかの債務整理を行うことでしょう。債務整理の方法もいろいろとありますが、たとえば、個人再生の場合なら、借金の総額は減額されます。つまり、借金が減ったということですね。
もちろん、いわゆるブラックリストに載って、しばらくはクレジットカードが持てないなど、若干の制裁は受け入れなければいけませんが、それ以上借金が増えることはありません。
ということは、返すのをやめたことで、借金が減ったと言えるんじゃないでしょうか?
もし、今、多重債務で悩んでいる人がこれを読んでいたら、ぜひこの「借金は返せば返すほど増えるが、返さなければ減る」ということを知っておいてほしいと思います。