サラリーマンの債務整理

サラリーマンなどの給与所得者には、さまざまな債務整理の方法が用意されているので、ある意味では恵まれているとも言えます。

しかし、いつまでも滞納したままで、何も対策を練らないでいると、業者の方も黙ってはいません。「支払督促」を裁判所から送られてきて、異議申立ての手続きをとらないでいると、業者の言い分がそのまま通った判決がおりて、いつでも業者は差し押さえなどの強制執行を行えるようになります。これを債務名義を取ると呼びます。

もっとも、異議申立てをしたとしても、お金を借りていることが事実である以上、どのみち裁判で負けてしまうので、結果は同じです。(時間稼ぎにはなりますが)

差し押さえこうなると、サラリーマンのように安定した収入があることが、逆に不利な立場になってしまいます。

最悪のケースでは、給料を差し押さえられるだけでなく、そのことが会社にバレて、リストラの対象になったり、下手をすると解雇される可能性もあります。

もちろん、差し押さえを理由に解雇することは、認められませんが、その他の理由を色々つけて辞めさせることだって、できるわけです。会社の方だって、面倒を起こした社員を抱えたいとは思わないでしょう。

さらに最悪なケースでは、会社を辞めてから支払われた「退職金」まで差し押さえられたケースも実際に存在しています。こうなると、丸裸で放り出された格好になりますから、そこから、元の生活を取り戻していくのは至難の業になってしまいます。

上場会社や公務員など一般的に安定したところで働いている人ほど、給料の差し押さえは受けやすくなる傾向があるようで、社員をかばうことなく、さっさと差押命令に応じるようです。

逆に中小企業で、気骨のある社長の場合は、そんなものには応じず、社員をかばってくれる場合もあるでしょうが、それを期待するわけにも行きませんね。

ということで、サラリーマンの場合は、多重債務になってしまって、返済が難しくなったらすぐに専門家のところに相談にいくべきです。

早めに対策をしておけば、会社にバレることもなければ、将来の収入も見込めるのですから。

サラリーマン向けの債務整理としては、「給与所得者等再生手続」があります。これは、裁判所が介入しますが、返済総額を少なくしたうえで、その金額を3年(から5年)で分割して返済する計画を立てる手続きです。

個人再生と言っている弁護士さんもいますが、呼び方が違っても同じ制度を指しています。

個人再生というと、家を手放さなきゃいけないと勘違いしている方もいますが、「住宅ローンについての特則」をつければ、家を手放すことなく、債務整理ができます。

ただし、住宅ローンについては減額されないので、勘違いしないようにしてください。あくまでも、消費者金融やカードローンなどの債務が減額される制度で、住宅ローンは今までどおり支払わなくてはいけません。

借金の額 最低限支払わなくてはいけない金額
100万円未満 減額なし
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 借金額の1/5
1500万円以上3000万円未満 300万円
3000万円超5000万円以下 借金額の1/10

ただし、サラリーマンの場合は、上の最低限支払わなくてはいけない金額と給料から経費(生活費)を引いた可処分所得の2年分とを比べて、大きい方の金額になります。

仮に、2000万円の借金があるサラリーマンの年収が800万円で、1年間の生活費が500万円だとしたら、「(800万 ー 500万)× 2 = 600万円」で、上の表の300万円よりも多い、600万円を分割して支払うということになります。高給取りには厳しいですね。

ここでは、話を単純化していますが、実際には、持っている財産がどのくらい価値があるか、など複数の要素が絡んできます。

具体的な数値を求めるためには、弁護士等に相談することをおすすめします。

その時は、どこからどれくらい借りているのか、自動車などの財産、住宅ローンの状況など、あらかじめご自身でまとめておくことも忘れないようにしましょう。

また、サラ金との付き合いが長い場合は、過払い金の返還で借金を減らせるかもしれません。そんな場合は、どのような債務整理の方法を取るのが、ベストなのかも含めて相談されるとよいでしょう。

借金革命

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